葉桜の季節に思うことなど(みずえ→なおさん)

なおさん、お花見いかがでしたか。

今年の桜は、なかなか開花せずにヤキモキさせたと思ったら、まるでパレードが通過するようにパーっと咲き散って、潔いというか余韻もないというか、味わう時間も持たせてくれませんでしたね。

 

先日は、なおさんの主催の対話の会に参加させてもらって、とても濃い時間を過ごせました。ありがとうございました。

あの場に集まった方々は、皆、はじめから申し合わせた目的があるわけではないのに、共通意識と言いますか、似通った課題や疑問を持ち寄って集っているのが面白いですね。

その中でも一際、眩しく光り輝くオーラを放っていた「するめさん」が、なおさんの娘氏さんだとは、最初全く気づきませんでした。

ぱっと見の印象が10代に見えず、20代前半くらいに感じたからなのですが、大人びているというより「老成している」雰囲気があって、これは同年代の子たちとは話が合わないだろうなと勝手にその苦労に思いを馳せたりして。

ごめんなさい、おばさんの感傷でしたね。

つい最近、似た雰囲気の子たちにあったような気がして、どこで感じたのだろうと、あれから考えていました。

鋭さや賢さ、繊細な感受性が感じられる言葉、自己防衛にぐるりに張り巡らせた壁のような硬い雰囲気、諦観が混じった視線。

でも、不謹慎を承知で言わせていただくと、なおさんの娘氏さんは本当に綺麗で美しくて、逆光に透けた髪と細い首筋ごと額に入れて飾りたいくらいでした。

話す言葉や仕草もなおさんに似ていて、親子ですね!と感心していました。

 

私には二人、子供がいます。

上は22歳、色々あって昨年一年間休学し、今年大学4年生になる息子と、下は18歳、高校三年生になる娘です。

他の人から見たら、この二人の子どもにも、私の影響が見てとれるのでしょうね。

それがどんなものであっても、二人の表層にあるものが良い影響であることを祈らずにはいられません。

 

この間、息子の通う大学へ見学に行ったのです。

息子は在学期間がコロナ禍に相当していて、1、2年生の時は授業はほぼリモートでした。当然、入学式もオンラインで、保護者は一度も大学に行く機会などありませんでした。

息子の通った高校はいわゆる進学校で、なかなかな勉強漬けの日々でしたので、家庭はフラストレーションの発散場所になっていました。その被害を一番に被っていたのは私なので、本人の希望する大学に進学が決まった時に、一度くらいは見学に行きたいと思ったのです。通うのは子どもであって、親には関係がないのはわかっているのですけど、高い学費を払うのだから見にいくくらい許されるだろう、と。

それに、日本の最高学府の一つとされる場所が、どんなところだか見てみたいですよね。

 

東京の真ん中にある、ビル街に囲まれたキャンパスは、恐ろしいほど静かでした。若い人ばかりのはずなのに、活気や叫声など全くなく、ポスター、張り紙などの類もほとんどなく、掃除が行きとどき、怖いほど清潔で何もないのです。

授業が終わると、講義室から学生が廊下に出てくるのですが、誰も彼も大人しくて行儀がよく、話し声も葉擦れの音のようにしか聞こえません。

キャンパスってもっとうるさいものだったと記憶しているのですが。

中庭に、木立ちに囲まれたカフェスペースがあるのですが、4人がけのテーブルに一人づつ座って等間隔にスペースをとり、会話などのコミュニケーションが全くなく、皆、俯いてスマホをいじっている。全く動かないその姿はマネキンかと錯覚しそう。

変な例えですが、大手企業の昼休みみたいなんです。

諦観、というより絶望してるようにも見える。

ごめんなさい、その感じがふと、娘氏さんの中に見えたのです。

こんなに若くて賢くて、未来が夢がいっぱいのはずなのに、途方に暮れてる感じ。

でも、これは大人の責任ですね。

私たちは本当は、子供達をこんなふうに疲れさせたりしてはいけないのに。

しかし、現実は問題が山積みで、なかなか思うようにいかなくて。

後ろめたい思いがありながらも、自分も体調をみながら上手くやっていくしかないのですけれど。

 

もう一つ、とても印象的だったのは、学生にアジア圏の留学生がとても多かったことでした。4割は留学生だったのでは、と同行した夫に言ったら「ええ?!みんな日本人だろう。勘違いじゃないの?」と言われました。確かにこれは推量なのですが。

しかし、男の人って、この手のことに疎くないですか。

短髪で筋肉質、いくら4月にしては暑いとはいえ半袖のポロシャツ・半ズボン、デカデカとブランドロゴの入ったバッグを持っている、なんて男の子は、帰国子女である可能性はあるけれど、日本で生まれ育った可能性は低いように思います。

女の子はもう少しわかりにくいけれど、日本女子は型で抜いたように同じ髪型、同じ化粧、同じような服を着ている。もちろん、可愛い系の服装や古着系、スポーツカジュアル系、などバリエーションはあるのですが、質感が似ているのです。特に最近の服は化繊ばかりなので、テラテラしているので分かります。目尻がはねたようなメイクや、ファッションがトゥーマッチな女の子は多分、外国籍の人。

それでも女子は、まだ華やかさがあるので救われます。黙っていてもエネルギーが溢れそうな雰囲気に、周りは勢いで引っ張られ、楽しそうに見えます。

対して、日本人の男の子は、だいたい痩せぎすで、黒色か灰色の服を着て、どんぐりのヘタみたいな髪型なの。品が良くてセンスもあるのだけど、貧相な感じ…素敵とは言いがたく、悲しくなってしまいました。当人からしたら大きなお世話なのだとわかっているのですが。

これはコミュニケーションを自ら拒否して、自己完結している雰囲気からくるもののように思えます。

女子は国籍に関係なく楽しそうなのに、男子は単独行動の子が多かったのも、つまらなそうな疲れている印象を受けた原因かもしれませんね。

でも、ビジュアルから受ける印象って本当、馬鹿にできないのです。

日本の衰退、というか萎縮を肌で感じた一日でした。

おかしいな〜コミュ力高いことで有名な大学なはずですが。

何かがどこかで変わってしまったのかなあ。

コミュ力高い男の子は、たまたま私たちの目に入らなかった可能性もありますけれど。

 

「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず」

創始者の言葉がパネル展示してありました。

ここへくる前は「平等どころかヒエラルキーの頂点に立った満足感」が溢れてる場所のように感じていました。

でも実際は、競争の果てに疲れた日本人若人と、未来の希望に燃える外国籍若人の場所、のように印象は変わりました。

それに、やっぱり肖像が一万円札になるだけある〜!!

学内がもう、金持ちしかいない感じ!

駐車してあるのはポルシェ、アルファロメオフェラーリ

日本車を見かけたらほぼプリウスです。

その「金持ち」の中に、日本人はあまりいないように感じます。

 

他の大学でも、入学したら半数は留学生だったとの話を聞きました。

外国人という偏見に、排斥思想が絡んで炎上しがちな昨今ですが、教育の現場から意識が変わるかもしれません。

でも、もしかしたらその変化は、平和的フラットな同士関係じゃなくて、ヒエラルキーを増大させるものかもしれない。そんなことを考えて、ちょっと怖くなってしまいました。

なおさんのご家族は留学経験者が多いと聞いていますが、昨今の日本は、外からはどう見えるのでしょうか。聞いてみたくなりました。

相変わらず「日本が一番」な風潮のテレビなどをふと見てしまうと、辛辣な意見を聞きたくなってしまう私です。

 

あわわ、取り止めもなく長くなってしまいました。

それでは、また。